読後、他の人に「読んだ?」と感想を聞きたくなる本 村上龍 『半島を出よ』

  • 2016/11/15
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最初の登場人物の10ページのリストをみて読むのを諦めた人もいるのでは?60人、70人?とにかく膨大な人の名前が列挙され、しかもキム何某、パク何某…となってくると把握できる自信もないまま読み始めました。

でも、心配ご無用です。冒頭の謎多き人物「ノブエ」から村上龍のワールドに否応なく引きずり込まれます。

福岡が北朝鮮に乗っ取られるという衝撃的な内容ですが、アメリカと中国の軍事境界線が北朝鮮と韓国ではなく、福岡であってもアメリカや中国は「どっちでも良い」と傍観するという展開には恐怖を感じました。
北朝鮮軍の過酷な訓練や思想教育、拷問などは読んでいて頭がクラクラするほどで、村上節全開という印象です。「限りなく透明に近いブルー」や「コンロッカー・ベイビーズ」などを思い出しながら読みました。

後半、日本が国として何も行動を起こせずにいる中、「イシハラ」の元に集う集団がイシハラの「駆逐しちゃうもんね」との一言で打倒占領軍への作戦をスタートさせます。それにしてもイシハラっって…。石原軍団に怒られないのかな。
このイシハラ達に共感できる人は少ないかもしれません。殺人歴があり、社会になじめないが、爆弾や武器、虫に特化した知識をそれぞれが持っている。村上龍は決して彼らを良し、としている訳でもヒーローとして賛美している訳でもないと思います。

1945年に第二次世界大戦が終了して70数年しか経っておらず、戦争を経験した世代がまだ存命なのに関わらず、日本が平和ボケしていることへの警鐘を鳴らす作品ではないでしょうか。
また、有事の際に小物化した政治家たちの対応が後手後手にまわる様子も描かれています。

村上龍という大御所が執筆した大作とあって、発売された時には大きな話題になりました。刊行されてから10年以上経ちましたが、小説の内容は作りものだと一笑に付すことはできないのではないでしょうか。

蛇足ですが、読後「ノブエは?」と呟いたのは私だけではないはずです(笑)。

さらに余談になりますが、学生の時に「ノルウェイの森」が出版され「ハルキブーム」が巻き起こりました。私も何冊か読みましたが、なぜかうまく村上春樹の世界に入っていくことができませんでした。それよりはむしろ、村上龍の「限りなく…」や「コインロッカー…」の方に興味をそそられました。
真面目で大人しい学生だったため、退廃的な世界に興味を持ったのかもしれません。けれど、ノーベル賞候補に何度も挙がるほど、世界で認められている村上春樹の本の魅力をいつか堪能できるようになりたい、と思い続けています。

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